スパイクリオ合同会社
河井 剛二(かわい ごうじ)さん
制作はすべてオンライン上で
ITコンテンツ全般の企画や制作、運用を行なっております。具体的に言うと、アプリ開発の企画やデザイン、Webコンテンツの企画制作及び保守になります。制作はすべて国内の各地にいるパートナーさんと、オンライン上でやり取りをしています。
苦労したのは資金と顧客
起業を考えたのは2017年の秋頃だったと思います。当時は都内のデザイン事務所でディレクターとして働く普通の会社員だったのですが、仕事など一区切りがついたのをきっかけとして、今度は自分で会社やってみたいな? という案外軽い気持ちで起業に至った気がします(笑)。
登記全般に関しては、自宅近くの行政書士さんにをお願いしました。経理や税理士さんなどは、今風に全てオンラインのサービスに登録して完結しました。
と、ここまでは順調だったのですが、勤め人をしながら平行して起業の準備を行うという事は、登記、経理、顧客、制作環境、資金について用意しないといけません。
ところが、前述した通り、登記と経理についてはなんとか仕事をしながら準備を完了したのですが、のこる資金と顧客については準備するのがなかなか難しくて苦労しました。
就業中以外の時間を使って営業しつつ、獲得した案件の制作をしながら融資制度の調査をし、その合間に外注パートナーを見つけることになりました。
フリーランスから会社員、そして起業へ
もともと20代から30代にかけて、10年ほどフリーランスでWebコンテンツのディレクターをしていたのですが、フリーランスをやっていると複数の人間が行き交う組織と違い、どうしても考え方や選択肢を含めて視野が狭くなっているように感じました。これは私だけの問題だったかもしれません。
丁度そんな事を考えていた矢先、とある都内のデザイン会社でディレクターとして仕事をする機会があり、そこでしばらくの間お仕事をさせていただきました。
この会社では、フリーランス時代とは違い、ある程度大きな仕事を体験できたので、広い視野での制作進行や、逆にフリーランス時代の経験値からくるスキルの使い方などを学びました。
そして何年かの月日が流れ、お世話になったこの会社の卒業と共に、独立起業となりました。
また起業の理由を明言するのは難しいのですが、「このままだと数年後も同様の事をやっているのでは?」と思ったからかもしれません。
何かしら問題を抱えた案件を対案の豊富さで解決
弊社はデザイン、ブランディング、保守、案件設計などWeb関係のコンテンツの受託業務がメインになります。その中で弊社の強みと言われると、私本人の経験値からくる対案の豊富さだと思います。弊社へお客様からくるご相談内容は、頓挫した案件のテコ入れや、古くなってしまったWebサイトへのテコ入れ、予算が限られた中で仕切り直してほしいなど、問題なく順調な案件というよりも、何かしら問題を抱えた案件がほとんどです。そこで、相談を頂いた時点でいかに多くの対案や対策を用意できるかをモットーとしています。また納品後にどうするか? という提案を意識しています。
「会社」と「個人」の二つの人格から考える
法人化して最初に感じた事は「会社=自分」では無いという事です。法人格としての「会社」とその事業利益から報酬を受け取る「個人」という二つの人格から考える事が必要なんだなと感じました。例えばフリーランス時代は自分の財布(口座)がそのまま事業資金であり、技術投資などの予算です。しかし法人の場合は自分自身とは切り離して、事業継続してゆく上で本当に必要なものは個人の事情関係なく判断する事が可能です。これは「なんとなく勿体無い」などの曖昧な判断基準ではなく、「今後会社の事業として必要か?」という明確な判断が可能です。反面、税金、社会保険、諸経費、融資の返済など、会社を継続する上で予想以上の諸経費が掛かる事がわかりました。日々軽減方法を思案中ですが…なかなかの悩みどころなのが正直なところです。この辺は各種経営者コミュニティーなどで相談しながら情報収取してゆくのが一番なのですが、なかなか日々の業務に追われて時間を作れていない事も悩みです。
起業を志す方へのアドバイス
仕事がら、今まで様々な経営者の方とお会いしてきましたが、起業時の事情やこだわりを聞かせていただくと、皆さん千差万別というか、バラバラなんですよね。そして、ルールやセオリーなんか無いので安心した記憶があります。現在はIT化などにより法人を立ち上げる際のハードル自体がかなり低くなってきていると思います。一度試してみるという感覚でやってみても良いのでは? と無責任ながら言ってしまいます。
アドバイザーからの一言スパイクリオという社名は、スパイラル(らせん)と、クリオシティ(好奇心)、を組み合わせた造語だそうです。河井さんの、「お客様とつかず離れず好奇心を保ってやり取りしていきたい」という願いが込められています。 株式会社マネジメントブレーン代表 姫野 裕基 |