税理士法人かけはし
武居 誠史(たけすえ まさふみ)さん
篠尾 龍典(しのお たつのり)さん
https://www.kakehashi-tax.com/
どのような事業をされているのですか?
三鷹駅北口の会計事務所です。篠尾 龍典と武居誠史の税理士2名で運営しています。中小企業や個人事業主向けには、一般的な税務顧問サービスに加え、クラウド会計を使って自社で経理する体制を構築するご支援を行っています。また、相続サービスとして、これからの相続に備えたい方の生前対策や、すでに相続が発生した方の申告手続業務を行っています。弁護士・社労士・中小企業診断士など他の領域の専門家の方と協力しながら、お客様のお悩みを解決できるよう、仕事に取り組んでいます。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
税理士になった当初は 「所属税理士」と言って、開業している税理士に雇用される立場でした。開業直前の3年間は、同じ会計事務所で勤務していたので、度々独立の話もしていましたが、当初の2人の考え方はかなり違っていました。篠尾は、早い頃からいずれ独立することを考えていて、自分で開業する場合には、事務所はどのエリアのどのビルにしようかと、かなり具体的にイメージを持っていました。一方、武居は自分で起業することはまったく考えていませんでした。仕事柄、実際に起業された方にお会いすることが多く、お話を伺っていると、開業当初は皆さんとても苦労されていて、自分には難しいのではないかと感じていたからです。2人での起業を明確に意識し始めたのは2020年の年末ごろです。税理士法人を設立するためには2名以上の税理士が必要ということもあり、「もし2人で一緒にやるなら」と、次第に話が具体的になっていきました。実際に準備を始めたのは、2021年の春頃です。所得税の確定申告のシーズンで繁忙期でしたが、税理士資格関係の手続きには相当時間がかかることは事前に調べて分かっていたので、仕事の合間を見ながら準備を進めました。2人での立ち上げだったので、会社を運営する上での理念や、独立したらやりたいこと、将来のビジョンなど、互いの考え方をすり合わせる作業に最も時間を使いました。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
担当していたお客様の数が多くなるにつれて、休日も仕事をしないと国が定める期限までに業務が終わらないという状況になりました。目の前の仕事をただこなすだけになった結果、お客様とのコミュニケーションが希薄になったり、先を見据えたご提案などができなくなったりと、税理士として本来目指していた姿とのずれを感じるようになっていました。このまま同じ働き方を続けていても、このずれが埋まることはないだろうと思ったので、起業を考えるようになりました。私たちは、同じ会計事務所で勤務していましたが、それぞれの業務領域や得意分野は真逆でした。篠尾は、お客様である経営者に会うという表立った業務を担当し、税務リスクの高い案件を多く処理していました。一方武居は、会計事務所内の管理業務などの裏方業務を主に担当し、クラウド会計などの新しいツールの導入支援を得意としていました。強みが異なる2人が一緒に事務所を運営すれば、お客様の多様なニーズに応えられるだろうと思い、一緒に事務所を立ち上げました。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
税理士という仕事の性質上、お客様には、財布の中身をすべて見せていただく必要があります。また、場合によっては家庭環境のことや健康面のことを伺うこともあります。だからこそ、私たちは、お客様と信頼関係を築き、「何でも相談して良いんだ」という安心を感じてもらえるようにコミュニケーションを取ることを第一に考えています。最初にお客様にお会いする時には、丁寧にお客様のお話をお聞きします。何気ない会話の中にお悩みごとや会社の課題は隠れているので、時間をかけて引き出すようにしています。逆に、お客様にご説明する際には、専門用語を極力使わず徹底的に分かりやすくお伝えすること、お客様の疑問にその場で速やかに回答すること、の2点を心がけています。
サービス内容としては、
①「利益予測推移表」を使い、納税見込みや資金繰り予測をスピーディーに提供できる。
②新たなツール(クラウド会計)や制度(インボイスなど)にも柔軟に対応できる。
③経営者の退職、相続まで見据えた長期的な視点でのご提案ができる。
という点が強みです。
起業して感じることは?
税理士として仕事をする時に、中小企業経営者の方が日々どのような悩みを抱え、それとどう向き合って解決しているのか、経営していてどんな時に幸せを感じるか、ということを理解し共感することは、とても大切だと思っています。起業して自分自身も経営者となり、お客様と同じ立場になったことで、その悩みや喜びをより深く実感できるようになったと思います。他に、起業して良かったのは、多くの人との新たなつながりが生まれたことです。特に、吉祥寺・三鷹でお会いする方は、優しく、起業して困っている時に的確で温かいアドバイスを頂けるので、いつも感謝しています。仕事の内容自体は起業前とあまり変わりませんが、自分の発言に対する責任は大きくなったと感じています。ただ、その分やりがいも大きくなりました。一番大変だと感じるのはお客様を獲得することです。税理士として実務の経験は十分積んできましたが、法人としての実績や知名度はゼロからのスタートとなるので、自分自身の価値をどうPRすればお客様に届くか、ということを日々考えています。
起業を志す方へのアドバイス
他の方から頂いたアドバイスを一旦素直に受け入れてみることだと思います。起業するとうまくいかないことも多く、だんだんと自分の考え方が凝り固まって、先へ進めないことがあります。そんな時に自分の視野を広げたり、あるいは正しい反省をしたりするきっかけ・チャンスが、他の方からのアドバイスだと思います。あと、創業融資を受けることは検討された方が良いと思います。資金繰りの面ももちろんですが、創業して間もない時期に事業計画を考えられる機会となるという意味でも有用だと思います。
アドバイザーからの一言協同代表として起ち上がった税理士法人かけはし。かつて先輩後輩として分かり合った関係の二人だからこそ、補完し合える状況を作っています。スタンスの違うお二人が、最終的には理念や想いを合わせスタートしているところが興味深いです。独立したお二人は、今お客様経営者と同じ立場になり、よりお客様の気持ちを理解できるようになっています。顧客獲得が難しいとのことですが、地域活動も積極的なので、ブレイクスルーするタイミングも間近なのではないでしょうか。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |