武蔵野商工会議所 会頭
株式会社武蔵境自動車教習所 代表取締役会長
髙橋 勇(たかはし いさむ) さん
https://www.musashino-cci.or.jp/
2021年10月に武蔵野商工会議所の会頭に就任された髙橋勇さん。昨年は東京で一番の受講者数を誇る武蔵境自動車教習所の代表取締役会長としてお話を伺いましたが、今年は武蔵野商工会議所の会頭としてお話を伺いました。
まず、武蔵野商工会議所について教えてください。
商工会議所は日本の中小企業の活性化のために組織された経済団体です。武蔵野商工会議所は73年前の1950年に創立され、武蔵野市の商工業の発展と地域活性化のために活動しています。
現在の会員数は2023年3月31日現在で3262事業所です。武蔵野市の総事業所数が約6900ですから、全体の47%ぐらいの事業所が武蔵野商工会議所に加入されております。
都市型の商工会議所では20%前後の加入率が多い中で、地域の半分近くの事業所が加入しているというのは大変素晴らしいことです。それだけ武蔵野商工会議所が地域に根ざし、地域に必要とされているのだと思います。それを嬉しく感じると同時に、大きな責任を感じながら運営させていただいています。武蔵野市の産業の活性化に尽力させていただきながら、もっともっと吉祥寺のことや武蔵野市のことを勉強しないといけないと感じています。
現在、武蔵野市の地域経済における課題はありますか?
吉祥寺は昔から「住みたい街No・1」と言われてきましたが、2023年の日経BP「シティブランド・ランキング」で、武蔵野市が「住みよい街日本一」に選ばれました。39項目の評価がある中で日本一になったことは、とても嬉しく思います。「住みたい街」ではなく「住みよい街」ということは、今現在、住んでいる人の想いですから、まさに私たち武蔵野商工会議所が目指している「活性化した街づくり」が行われていて、住む人にとっての利便性や、福利厚生の面での行政との連携がしっかりできているということではないかと思います。
武蔵野市では、吉祥寺は商業地区、三鷹は市役所などのある官公地区、武蔵境は住居と学生の街になっていて、3つの駅を中心とした地域のひとつひとつで個性に溢れる街づくりがなされているということを強く感じます。
近年市内にはナショナルブランド、つまり大手のチェーン店がどんどん増えており、個性のある個人店が減少傾向にあります。そのため街づくりが重要だと考えています。
住む人にすれば買い物もしやすく住みやすい街ではありますが、街の魅力を考えると、キラキラした個性のあるお店が共存できることが、魅力的な街につながるのではないかと思います。
最近は西荻や国分寺、立川の街が大きく変貌していることを感じます。吉祥寺を始めとする市内3地区には、もっともっと個性的なお店を増やして、来街者にとって、更に魅力的な街にしていけたらと思います。
また、武蔵野市はインバウンドがまだまだ少ないです。インバウンドが少ないということは、海外から見て「武蔵野市に行きたい」「吉祥寺に行きたい」と思っていただけるような、「行きたい」の要素が足りないのかもしれません。それを私たちが作っていきたいと思います。
会員企業さんへの支援はどういうことをされていますか?
現在、武蔵野商工会議所では、会員企業への支援を徹底的に取り組んでいます。特に経営相談に力を入れており、昨年も延べ回数2100件の経営相談を受けました。今年もそれを上回るペースで経営相談を受けています。
中小企業には「経営相談をする」ということ自体がまだ認識されていません。今までずっと同じやりかたを踏襲してきたけれど、コロナ禍で経営のやりかたを大きく変えなければならなくなったというのが今の中小企業の悩みの一つです。会員と一緒に考え、会員の実情に寄り添う経営相談をするように事務局にお願いしています。
同時に、資金的な面でのバックアップもします。経営相談の中で事業計画書の作成から資金調達の相談までをワンストップでお手伝いできます。商工会議所では年会費のみで何度でも相談できます。経営のコンサルティングから資金的なバックアップまでできるというのは、まさに商工会議所の強みではないでしょうか。
地域との連携はどういうことをされていますか?
私は武蔵野市の強みとは何なのかをずっと考えてきました。「吉祥寺」や「武蔵野市」というブランドもありますが、これからもっと新しいものを作っていかなくてはなりません。お陰様で武蔵野市にはアニメの会社や漫画家、クリエイターが大勢いらっしゃいますので、「アニメノマンガノムサシノ」というロゴを使い、昨年は三鷹で、今年は武蔵境でイベントを開催する予定です。来年は吉祥寺での開催となります。
アニメは日本の大切なコンテンツですし、武蔵野市のコンテンツでもあります。それを世界に発信してインバウンドを呼び込みたいです。そして、武蔵野市の「ブランド」として推進していきます。
11月20日にはアニメの制作会社や漫画家、クリエイターを集めて、大きなパーティーを予定しています(10月12日現在)。パーティーというか、「情報交換会」のような集まりですね。そこで武蔵野商工会議所がどんなことをやろうとしているのかをお伝えして、「ぜひ協力して欲しい」という私の想いをお伝えしたいと思います。
今後、商工会議所としてどんなことに取り組んでいかれますか?
とにかく会員増強ですね。加入率50%を目指します。そして会員のネットワークを作って、もっと経営のしやすい環境を作って参ります。武蔵野市に店を出してよかったと感じてもらえて、どんどん出店者が増えるような街にしていきたいと思います。
商圏を拡大するならば、中道通り、昭和通り、大正通りの商圏を西に延ばして、三鷹とリンクするような街になるといいと思います。そうすれば西に大きな商圏ができます。そこに魅力ある個性的なお店が集まってくるといいですよね。
吉祥寺は来街者の方々に「探索」していただくことでより楽しさが伝わる街にしていければと思います。探索するということは、街に来て街を歩くということです。街を歩いて面白いお店を発見するということです。そのために商圏を西に拡大して、個性的なお店を増やしていく、そういうお店が生き生きとした吉祥寺の街を作ってくれるのではないかと思います。
中道通り、昭和通り、大正通りの商圏が西に延びると、今度は南北の縦のラインにもお店ができます。そこには車も入ってこないし、小道にしゃれた喫茶店があったりして、ゆっくりお茶を楽しんだり、美味しいパン屋さんや美味しいお料理のお店ができるようになれば、住む人にとってもいいし、お店を出す人にとっても住環境をあまり変えずに経営ができます。
そんな構想を持ちながら、商工会議所は地域に寄り添って、できることから実行していきます。
(取材:いなだゆかり)
武蔵野商工会議所
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