杉本道郎税理士事務所
杉本 道郎(すぎもと みちろう)さん
どのような事業をされているのですか?
2023年10月1日に税理士事務所を開業しました。法人や個人事業主のお客様のサポートに加え、相続にも対応しています。特にクラウド会計の導入支援やデジタルトランスフォーメーション(DX)、業務効率化に注力しています。相続に関しては、独自のシミュレーションツールを用いた最適な節税対策と申告をご提供しています。
一度ご購入いただいて終わりではなく、服用中やその後も、LINEやメール等でのアフターフォローとして、体調変化や健康相談に応じています。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
税理士を志したころから独立を考えており、30歳くらいの時からその意識を持ち始めました。今振り返ると、税理士を目指すには少し遅い年齢だったかもしれませんが、当時は余り気にしていませんでした。
少し話が逸れるかもしれませんが、私の社会人としての第一歩はパチスロメーカーの企画部出玉設計課という部署から始まりました。大学在学中にパチスロに熱中し、そのままパチスロメーカーに就職することになりました。大好きなパチスロの開発に携わる仕事に就き、仕事でもプライベートでもパチスロ三昧の充実した20代を過ごしました。
ところが、29歳の頃にリーマンショックを経験しました。それまでも不景気は続いていましたが、それはいずれ回復しいつか好景気が訪れるという楽観的な雰囲気があったと思います。しかし、リーマンショックにより、資本主義の欠陥が露呈し、そのような期待がもてなくなりました。また、リストラも目のあたりにし、このままサラリーマンとして年齢を重ねることにリスクを覚えたのを記憶しています。
これを機に、転職を考え始めて、独立可能な税理士を目指すことを決めました。振り返ってみると、年齢的にも今後のキャリアについて考える時期だったのかもしれません。さらに、いずれは人のために生きたいという想いも、この選択を後押ししたと思います。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
税理士資格の簿記論と財務諸表論、消費税法を取得してからは、都内の税理士法人に転職し、約8年半勤務しました。法人や個人事業主のお客様から相続に至るまで、幅広い業務経験を積むことができ、失敗や成功を繰り返しながら徐々に自信を深めていきました。
しかし、税務の世界は非常に奥深く、学べば学ぶほど新たに分からないことが増えてきます。そのため、さらに経験を積むべきか悩むこともありました。また、重要な仕事を任されるようになり、やりがいを感じる一方で、独立しない選択肢も考えられました。未知の世界に飛び込むことへの不安も感じていたかもしれません。
独立への気持ちが揺らいだりすることもありましたが、その気持ちが無くなることはありませんでした。そうであればと、独立に踏み切りました。新たなチャレンジをするには40代半ばが体力的に限界だと感じ、44歳での独立になりました。経営者の苦労や心情を本当に理解するには自分も同じ立場になる必要があると感じていましたので、早晩独立していたような気がします。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
前述のとおり、私がこの業界に入る前はパチスロメーカーで働いていました。経理や経営企画ではなく出玉設計課というところでしたので、税理士とは全く繋がりがないと思われるかもしれませんが、私にとってメーカー時代のノウハウが土台となっており、その上に税務会計の知識や経験が乗っている感覚です。そして、この組み合わせこそが、私の事業の強みだと考えています。
紙面の都合で多くは書けませんが、出玉設計課(数学科出身の5,6名のメンバーで構成されていました。)では、最適解(最大攻略時の出玉率等)をエクセルにより自動で計算するノウハウを作り上げていました。例えるなら、将棋ソフトのようなイメージでしょうか。一見すると悪手に見える手が、その後の展開が見えてくると実はいい手だった、というようなイメージです。例えば、相続において、一次相続の遺産分割割合は、二次相続を考慮した場合とそうでない場合で分割割合は変わってくるでしょう。また、その後の生前贈与の金額をいくらにするか、収益物件は誰が相続すべきか、選択肢が多い場合、その中から最適解を見つけるのは容易ではありません。弊事務所では、独自に開発したシミュレーションツールにより、このような複雑なケースでも最適解をご提案することができます。私の事業の強みは、税金の最適解を導き出すノウハウとなります。
起業して感じることは?
独立して最も良かったことは、同じような志を持つ人とつながる機会が増えたことです。独立前は同業者との横の繋がりはほぼなく、目の前の仕事をこなすことに精一杯の生活でした。しかし、独立後は、税理士会武蔵野支部や武蔵野商工会議所での活動を通じて、同業の税理士をはじめ、多くの他の士業の方々と知り合うことができました。年齢層も幅広く、若い方から経験豊富なベテランの方まで、さまざまな話を聞くことができ、とても新鮮でした。また、同世代で活躍している方々からは多くの刺激を受けることができました。中には独立間もない私に仕事を紹介してくれる方もいらっしゃり、世の中捨てたものではないと感じました。いつか私もそうありたいと思いました。
独立して悪かったことは、成功も失敗も自分一人で受け止める他ないので、失敗して一人で落ち込むこともあります。反面、成功した場合はそれ以上の喜びがありますので、これは良くも悪くもという感じかもしれません。
起業を志す方へのアドバイス
起業する前の会社は円満に退職して下さい。人が集まれば、気に入らないことや腹が立つことがあるかもしれません。しかし、一時の感情でそれまで築いた関係を壊すのはもったいないことです。起業後は、人と人との繋がりがとても大切になります。であれば、せめて前の会社くらいは円満に退職すべきです。
最後に、私が大切にしている言葉をご紹介します。聖徳太子の十七条の憲法の第十条(要約)。「人の違たがうことをいからざれ、人皆心あり。我必ずしも聖ひじりに非ず。彼必ずしも愚かに非ず。共にこれ凡夫のみ。是を以て、彼の人怒るといえども、省みて我が過ちをおそれよ。」
アドバイザーからの一言大手パチスロメーカーの出玉設計課出身という異色の経歴を持つ杉本さん。しかし、この経験が税理士業務の土台になっているというのだから驚きです。 以前、相続案件で税理士さんを探していた弁護士さんに、杉本さんを紹介したことがありました。しばらくして、その弁護士さんから「まさに最適解だった」と感謝され、お客様からも非常に高い評価を得たそうです。日頃より、「自利利他」の精神で業務に励んでいるとのことです。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |