株式会社 喜八屋
川上辰夫(かわかみ たつお)さん
どのような事業をされているのですか?
ブランディングを強化するためのホームページ制作を中心に、広告企画、WEB広告の手配や広告デザインなどを行っています。社員4名・パート3名と私を含め、8名体制で事業を行っています。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナーや、一般社団法人ブランド・マネージャー認定協会のブランド・マネージャーが、集客や採用の強化だけでなく、お客様の「ファン」を増やすデザインを提供しています。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
30歳になるころに独立したいという夢がもともとあったこともありましたが、会社員時代に経営について本で学ぶには限界があると感じたことも、大きな起業のきっかけです。いくら経営に関する知識を学んで、その知識をもとに経営者に話しても、自分自身の言葉に重みを全く感じない日々が過ぎていました。経営者の悩みを解決できる広告屋になるためには、自身も経営についての「経験」を積み、本当に課題を理解・共感できるようになって、その上での広告宣伝のサポートをしたいと強く思うようになったのです。
独立してから一番最初に理解できるようになったのは、広告費を出す側の気持ちが痛いほどわかりました(笑)。経営者はみんな強がっているふりをしているだけで、何十万円、何百万円もの広告費が出ていったら、心の中が穏やかではいられません。独立当初のお金事情では、祈るような気持ちで広告効果を期待しています。そんな経営者様からお預かりした貴重な広告費を、最大限の効果でお返ししたい。多くのファンを増やすきっかけにしたい。なにがあっても費用対効果を出してあげられる広告屋として、成長し続けたいと考えています。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
税理士資格の簿記論と財務諸表論、消費税法を取得してからは、都内の税理士法人に転職し、約8年半勤務しました。法人や個人事業主のお客様から相続に至るまで、幅広い業務経験を積むことができ、失敗や成功を繰り返しながら徐々に自信を深めていきました。
しかし、税務の世界は非常に奥深く、学べば学ぶほど新たに分からないことが増えてきます。そのため、さらに経験を積むべきか悩むこともありました。また、重要な仕事を任されるようになり、やりがいを感じる一方で、独立しない選択肢も考えられました。未知の世界に飛び込むことへの不安も感じていたかもしれません。
独立への気持ちが揺らいだりすることもありましたが、その気持ちが無くなることはありませんでした。そうであればと、独立に踏み切りました。新たなチャレンジをするには40代半ばが体力的に限界だと感じ、44歳での独立になりました。経営者の苦労や心情を本当に理解するには自分も同じ立場になる必要があると感じていましたので、早晩独立していたような気がします。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
一番の強みは、お客様の事業や想いをしっかり整理する力です。それができるのは、すべての企画・制作をチームで対応する体制があるからです。弊社ではホームページ制作は、ブランディング力向上という価値を提供するため、テンプレートを使用せず、すべてオリジナルのデザインで作成します。
オリジナルデザインでの制作に一番大事なのは、お客様の想いをヒアリングし、さらにその心の奥にある本当にやりたいこと、実現したい世界に対する考えを可視化することです。お客様自身が考える「こんな感じのを作ってほしい」というものを作るのは簡単ですが、お客様が気づかなかった視点や想いを引き出すには、担当一人では難しい場合が多いです。「三人寄れば文殊の知恵」という言葉が表すように、チームでお客様の課題や将来の目標に向き合うことで、本当に伝えたいこと、宣伝・PRを通して出会いたいお客さまやパートナーはだれかを見出し、そこに伝わる表現を提供しています。
起業して感じることは?
経営は学ぶより、実践する方が楽しいです。起業して一番感じているのは、なにより経営の楽しさですね。自分自身が担当するお客様に喜んでもらえるのはもちろん嬉しいですが、自社の社員が担当するお客様から褒められたり、喜んでもらっている姿を見ると、会社を興してよかったと心から思えますし、嬉しい気持ちで満たされます。社員を抱えた分、一人では担当できない数のお客様にサービスを提供し、さらに一人ではできない質のサービスを提供できるようになりました。この状況を作り維持するのも「経営」をしてきたからです。
広告の専門家として働いていた時代とは違い、いまは「マネジメント」「財務」「採用人事」など、幅広い分野の経営活動を行う必要があります。特に財務は全く無知だったので、たくさん難儀な場面に出くわしました(笑)。「経営」を辞書で引くと”事業を営むこと。また、その運営のための仕組み。”と書かれています。つまり「社会に役立つ事業を続けるための絶え間ない活動」と、私はとらえています。経営者は社会の役に立ち続ける責任があると思います。世の中、社員、パートナー企業、行政、金融機関など、多くの方々の支えがあって事業が行えます。多くの方々に感謝し、少しでも恩返しし続ける会社にするために、これからも経営者と成長し続けたいと思います。
起業を志す方へのアドバイス
経営者の大事な資質は「決断力」と「行動力」です。そしてその決断に対するいかなる結果もしっかりと自身で受け止める「責任力」が重要。志したらなら、起業する日付を決めてすぐ動き出しましょう。そしてその日付までには必ず起業し、とにかく独立してみてください。
どんな本を読んでも、結局は経験に勝てません。ただ自身に与えられた能力が、組織に属している方が世の中に役立つのか、独立した方が役に立てるのか、真剣に考えてみてほしいと思います。その上でもし起業するという決断をされたら、多くの起業家が応援してますよ!!
アドバイザーからの一言媒体の広告営業出身である川上さんは、ご両親も経営者。起業を早くから意識していたのも納得です。創業後は、商工会議所や信用金庫の会合に積極的に参加し、経営者の友人を増やしてきました。「話すだけでモチベーションが上がるので、本当にありがたい」と語ります。そんな川上さんの夢は二つあります。一つ目は、もちろん広告業を拡大すること。そしてもう一つは、学生時代から続けてきた「空手道」への貢献です。「人の役に立つ」という理念のもと、お客様に寄り添いながら活動を続けています。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |