片山クリーガル行政書士事務所
片山 麗(かたやま れい)さん
行政書士 http://clegal-office.com/
行政と一般の方との間に立って法的手続きを進める仕事
行政書士をしています。…とはいっても、「行政書士」という言葉だけでは、なかなかイメージが湧きづらいかと思いますが、行政と一般の方との間に立って、書類作成を中心に法的手続きを進めるお仕事です。例えば、許認可取得や会社設立、契約書作成、遺言・相続、外国人のビザの手続きなどがあります。
行政書士という仕事は専門分野がかなり分かれている仕事だと思います。建設業の許認可を扱う先生もいれば、相続の手続きを専門にされている先生、会社の設立を専門にされている先生など、その行政書士によって専門が異なっています。私はその中でも外国人のビザの手続きや、化粧品の許認可を中心にお仕事をさせていただいています。
起業家セミナーに積極的に参加したことが一番の力に
起業を意識したのは行政書士という資格を取ったときからです。行政書士という仕事は求人が多い方ではないですし、もともと行政書士の方にネットワークもなかったので、思い切って飛び込んでみよう…!と、独立開業する心構えをすることになりました。今思うと、どこか先輩の事務所で経験を積む機会があれば、もっといろいろ勉強できたでしょうし、何か違ったかもしれないと思うこともありますが、結果的には飛び込んでみてよかったと思っています。
自分でやってみることでしか出会えない人、経験することのできない出来事がいくつもあったと思っています。
開業準備としては、まずは先立つものとして「資金」がなかったので、1年ほどアルバイトをして貯金しました。他に経営に必要な知識については、本を何冊か買って読んだり、情報収集をしたりしましたが、一番力になったのは、開業する数か月前に吉祥寺の起業家セミナーに積極的に参加させていただいたことでしょうか。法律については勉強してきていても、経営者としては素人でしたので、こちらについては専門家の方や、経験者の方の意見を聞き、何より同じエリアでビジネスを始める方々、ビジネスをしている方々とのつながりができたことが知識を吸収することのみならず、今の自分の人間関係、地域とのつながり、そして業務にも良い影響を及ぼしています。
海外への興味から、旅行会社や海外化粧品会社などに勤務
私は学生時代から海外に興味があり、中学生のころから海外にペンパルがいたり、大学時代には国際文化を専攻し、日本語教育を学んだり、イギリスに短期留学をしたりと、国際交流も大好きだったため、外国人と日本を繋ぐ仕事をしたいという気持ちが常にありました。
そのため、社会人になってからは、旅行会社、海外化粧品会社などに勤務しました。しかし、仕事や国際交流などで出会った日本にいる外国人の友人は、いつもビザの問題を意識していました。「ビザの問題があるから」という理由で何人も日本を離れていくのを見てきました。今ならわかるのですが、日本にいる外国人にとってビザは命や家族の次に重要なものです。ビザのことで悩み、帰国することになる友人の力にどうにかなることはできないのだろうか…?ビザのことで力になれる仕事はなんだろう…?そう考えて調べ始めた結果、行政書士という仕事を見つけて、資格を取得しました。
現在、日本語ができる外国人は増えていますが、ビザに関する情報や法律を読みこなして入国管理局へ申請するのは、簡単なことではありません。そういう場面で日本と外国人の間に入って手助けをする仕事をしたいと思い、起業することを決めました。
ビザの問題に触れる機会は身近
日本に来る外国人の数が増え、日本で暮らす外国人も増えています。日本自体が人材不足などの問題を抱える中、雇用する外国人をそのまま雇って大丈夫だろうか、また、外国人の妻・夫の永住権を申請したいなど、外国人のビザの問題に触れる機会は意外にも身近にあるものです。そんな問題に困ったとき、解決の窓口としてご利用いただくことができます。
また、弊所では化粧品などの許認可などの業務も行っておりますので、起業する際に許認可が必要になった場合、契約書が必要になった場合など、お客様の法的手続きの負担を軽くし本業に専念していただけるサポートをいたします。
人生がかかっているビザ取得
起業してよかったことは、やはり何といってもお客様からの業務終了後に頂いた感謝の言葉です。例えば、ビザの問題には、その人の人生がかかっています(ほどんどの案件がそうですが)。初めてのお客様であるベトナム人の方に許可が下りたときの喜びの声は今でも忘れることができません。その安堵の表情や喜んでいる姿を見ると「これからもがんばろう!」という気持ちがより強くなります。
起業して悪かったと感じることは正直あまりないのですが、時間の管理はもっとしっかり計画しておくべきだったと反省しています。よく、起業をしたことを友人に言うと、「いいね。いろいろ自由になることが多いんじゃない?」なんて言われることも多いです。確かに、自分で選択して、決めることのできる自由はあると思います。
これはいいことも悪いこともそうです。中でも、時間については、私の場合、今のところ、一人事務所ですので、作業を分担したり、誰かに相談したりという機会は多くありません。ということは、全部一人でしなければならないということです。ある程度予想して起業しましたが、営業も事務も両方ですから、初めの頃、時間管理は大変でした。まして、開業当初は悩むことも多いです。誰かに相談したくてもその相手がいないことが大きなストレスになりがちです。それに、起業してすぐにお客さんがいるわけではありませんし…。そうした悩み多き頃があったからこそ、気が付いたことがあります。それは、周りで起業しているひとや地域の人とのネットワークの大切さです。私の起業した吉祥寺では、起業者向けのスクールや商工会議所を通じて、様々な業種の地域の方と巡り会うチャンスがありました。そのおかげで、自分の中にある起業当初の悩みを前向きにとらえることができたと思っています。
起業を志す方へのアドバイス
私自身、まだまだ悩むことも多いですし、アドバイスできることは少ないですが、ご自身の事業が船出してみなければ、分からないことや不安がたくさんあると思います。しかし、積極的に起業した地域の方と繋がりをもって、アンテナを張り巡らせて、情報収集をして、前向きに前に進んでいきましょう!資金のこと、経営のこと、必ず相談できる人はいます。あとは、家族や友人など、抱え込まずに弱音をはけるところを一つ用意しておいたら十分じゃないかなと思います。経営はいつも安定しているとは限りませんし、これからどうなるかを明確に予想することはできません。それでも、前に進むための道を探し続けることを止めないことが次の一歩につながると信じるようにしています。
アドバイザーからの一言片山さんは、週末に秋田~東京を高速バスで通いながら資格を取得したという根性娘。数ある業務から「外国人ビザ」と「化粧品の許認可」を主軸にしたのは、ご自身の志やキャリアはもちろん、マーケティング視点での判断でもあります。地域の人脈を拡げ、仕事に繋げている点も、士業開業のポイントです。 中小企業診断士・マーケティング塾代表講師 姫野 裕基 |