おもてなしEnglish Hospit
鶴﨑 実穂子(つるさき みほこ)さん
接客英会話・和文化の普及 https://hospit.tokyo
接客英会話のカスタマイズやバイリンガルの風呂敷講座を開催
「日本と世界をフラットに結ぶ」をコンセプトにした事業、おもてなしEnglishHospitを立ち上げ、インバウンド対応を必要とするお店や講座のプロデュースをしています。具体的には、それぞれのお店に合わせた接客英会話をカスタマイズしたり、「コト消費」に向けた講座を日英のバイリンガルにし、海外の方にわかりやすいものに設定したりしています。また、風呂敷講師として日英バイリンガルで講座を開催し、外国と日本の方々が一緒になって学べる場を提供しています。
訪日外国人旅行者数の増加で潜在的な需要に着目
起業を意識したのはニュージーランドに暮らしていたころからですが、実際に起業に向けて活動を始めたのは、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」により訪日外国人旅行者数の増加してきた2010年頃です。アクティビティと呼ばれる体験型の観光資源が東京にはまだまだ少なく、外国語対応も進んでいないことに着目し、そこに潜在的な需要があると考え、起業の準備を始めました。東京オリンピック開催決定や訪日外国人数が1000万人を超えたことを追い風と捉え、2014年に「おもてなしEnglishHospit」を商標登録しました。
和文化のコンテンツとして和菓子や風呂敷を候補とし、実際にいくつかの講座にも参加し、教え方やタイムスケジュールを参考に英語のレシピを用意しました。接客英会話のプロデュースに備え、会話事例集なども準備しました。
地元での起業を想定し、吉祥寺の創業スクールに通い、起業のノウハウを学びながら、地域の起業の先輩から情報をお聞きし、商工会議所、武蔵野観光機構の方にもお話を伺いました。
吉祥寺i-officeや武蔵野プレイスで講座を開講しましたが、英語だけでなく日英のバイリンガルで始めることにしたのは、吉祥寺の創業スクールの仲間からアドバイスをもらったおかげです。
外国の方と親しくなるきっかけや共有できる場が必要と感じて
ニュージーランドで暮らしていた20数年前、日本の製品や文化、料理がいろいろな国の方々に人気があることに注目し、日本の良いものをもっと外国の人に伝えるサポートがしたいと漠然と考えるようになりました。
一方で、職場も友人も日本人ばかりで、なかなか外国の方と交流できず、せっかくの海外経験を活かしきれずに帰国するというケースも多く目にしました。外国の方と親しくなるきっかけ作りや共有できる場が日本国内でも必要だと感じていました。
帰国後は外資系やグローバル企業で働いたのですが、オフィスの外国の人達から日本の好きなところや好きな物の話、お国事情から起業のヒントになるものもたくさんあり、イメージが膨らんでいきました。
そうして和文化の講座を日英のバイリンガルで開催することにしました。訪日外国人数が2000万人を超えた今、和文化のみならず、いろいろなことを体験したい外国の方が増えています。それに伴い、多岐にわたる講座の先生からバイリンガル講座にしたいというご相談もいただくようになりました。英会話教室運営のノウハウや海外経験から、英語だけでなく講座開催のアドバイスができる人は多くないと思い、始めることにしました。
様々な仕事の経験で蓄積した幅広いスキルが大きな強み
私の強みは様々な仕事の経験から、「英会話講師であること」「風呂敷講師であること」「和菓子を作ること」「イベントの開催が得意であること」「海外での接客経験があること」「家庭科教員免許があること」など、自分自身にスキルが蓄積されていることです。
講座で重要なイベント開催については、英会話教室を開いている頃、当時としては珍しい「ハロウィンパーティ」を企画実施、地域の教室と合同で1000人超の参加があり、江東区の商店街の盛り上げに貢献し、TV取材も受けました。風呂敷でも、講師のネットワークを構築していますので、大きな規模の講座にも対応できます。
また、私のふろしき講座では外国人講師の育成にも力を入れており、今年はスペイン人の講師が誕生し、来年には別の国の講師も誕生する予定で、オリンピックに向けて多言語でふろしき講座を開催することを目標にしております。
武蔵野創業スクールは起業した私にとっての実家のような存在
本当に「希望」以外は何にもない状態からのスタートになります。そんな中で、武蔵野創業スクールは起業した私にとっての実家のような存在で、ホッとできる場所です。そこに行けば、起業の仲間がいて、仕事に協力することもできます。
頑張っている人に刺激を受けたり、活き活きしている人に元気をもらったり、そして、アドバイスをいただいたり、励ましていただいたりと人の温かさや優しさをこれまで以上にありがたく感じるようになりました。
仕事では地元である武蔵野市のインバウンドモニタリングツアーに風呂敷講師として参加できたのも嬉しいことでした。そして生徒さんやクライアントさんに喜んでもらえる仕事をし、お手紙や言葉をいただいた時にはダイレクトに心に響き、嬉しいです。起業の仲間があちらこちらに増えていくことも元気になります。
軌道に乗るまでは収入が安定しなかったり、持ち出しになったりするところは少し大変です。
起業を志す方へのアドバイス
仕事の量も質も自分で選ぶことができるので、だからこそ目標設定や計画作成は重要です。
地域の人とのつながりと勉強のため、創業塾や商工会議所などに入ることをお勧めします。トライすることでわかることもあります。
私もアメリカ人の友人に材料調達や縫製を手伝ってもらい、アート展に風呂敷を出展、完売したことでニーズは確認できましたが、稼働と作品に関するアイデアを常時必要とするものなので、事業としては難しいことがわかりました。
アドバイザーからの一言英会話力というスキルをそれだけにせず、アクティビティや和文化と結びつけたところに、着眼の素晴らしさがあり、これからがますます楽しみな事業。「むさしの創業スクールは実家のような存在」とは、我々運営側にとっても嬉しいです。地域の仲間やスクール同期からの刺激は、やる気や元気の源ですね。 中小企業診断士・マーケティング塾代表講師 姫野 裕基 |