株式会社Office Breath・Breath行政書士事務所
本多 夏帆(ほんだ なつほ)さん
行政書士・コンサルティングと 子連れコワーキングスペース運営 http://office-breath.com
目の前の人の役に立てるように何足もの草鞋を
事業内容は、もはや一言では言い表せず…行政書士、法務支援、就職/採用支援、デザインと広がって、しまいには子連れコワーキングスペースの運営を始めてしまいました。
さらには子育て世代として市議会議員にも挑戦することになり、何足の草鞋を履いているか分かりません。
ただすべては自分の中で密接に繋がっていると考えていて、目の前の人の役に立てるようにと事業を展開してきました。
お客様と経験から学んだ起業と経営
母が社会保険労務士3年目というタイミングで合流しました。「いつかは」と思っていましたが、やるなら早いほうが良いかなと。それから母の顧客訪問等に同行しながら行政書士の資格を取り、自らも自営業としてスタートすることになったのです。お客様である、主に経営者と直接話すことによって、今は採用が大変だとか、教育にお金をかけるのはなかなか難しいとか、そういった中小企業の生の情報を得ることができたと思います。経営を学ぶうえで貴重な時間となりました。それから自分自身の結婚・出産があり、子どもを育てながらの自営業の大変さを痛感しました。まだまだ待機児童も多く、簡単に保育園に入れられるような状況ではなかったことから、少しだけでも子どもを見ていてくれるところがあったらなぁ…という想いで、子連れコワーキングスペースを作ることにしたのです。これは私の中では第二の起業と言っても過言ではありません。これまではある意味で自由な働き方ができていましたが、店舗経営となると訳が違います。自分が大変だから作ろうと思ったのに、さらに大変な思いをすることになってしまいました(笑)。
会社員ではない働き方が身の回りにあふれていた
起業のきっかけは、そもそもは母が先に自営業をやっていたからというのが大きいですが、遡ると祖父も父も自営業で、会社員ではない働き方が身の回りにあふれていたことも影響しているかもしれません。「女ひとりでも自立して生きていけるように」という母からの教えのもと法学部を目指し、結局法律職となっていることからも、なるべくしてなったのかなという気はしています。実際、「起業家になりたい!」という想いは特になく、起業家と呼ばれることも「そうなのか?」と未だ思うくらいで、とにかく要望のあることをサービスにして日々過ごしているという感じです。それを起業家と呼ぶのかもしれませんが…。また、行政書士を取得したのも、過去に公務員試験の受験経験があり、その勉強を流用したので、資格にこだわりがあったということもありませんでした。その時その時に自分にできることをやる、求められていることをするというのがポリシーで、計画性がないのが玉に瑕なのですが(笑)、スピード感をもって取り組むようにしています。
リアルな実感をもってともに考え、解決に向けて動く
まずは「何でも相談していただけるように」というのを軸にしています。今までに「行政書士って何?」と聞かれたことは数知れず…。私たちのような士業というのは明確に役割分担があるのですが、あまりに専門的なので非常に分かりにくいんですよね。うちの場合は行政書士と社会保険労務士がいるので、会社関係の労務や法務等まるっと相談していただくことができますが、ここからは税理士さんですねとか弁護士さんですねとか、そういったことが多発します。それを踏まえて信頼できる専門家の人脈をしっかりとつくり、私たちが窓口となって、お客様の課題解決がスムーズに進むようにというのを意識するようにしています。コワーキングスペースを開設した今では、BtoBだけでなくBtoCの知識も増やせるようになりました。接客業や小売業等、BtoBの会社とは違う動き方をしなくてはならない業態の場合、出てくる課題も全然違うんですよね。そこを想像だけでなく、リアルな実感をもってともに考え、解決に向けて動くことができるので、私自身も勉強になりありがたいです。何でも言うのは楽ですが、やってみるのは本当に大変なんですよね。今では自社で雇用もするようになり、直面する課題に日々奮闘しているので、そこもこれまでより深くお客様とコミュニケーションが取れるようになったと感じているところです。
店舗を出すことによって地元に根付いたサービスを
起業して良かったことは、私は自分の性に合っているなとよく思います。趣味もなく、家庭以外は全部仕事みたいな人間で。自分で決めるのが好きなんだと思います。何もないところからかたちを作るのがとても楽しいです。また、家族にも大きく影響していると感じています。良いのか悪いのかは分かりませんが、私が忙しくなるにつれ、夫は家事をするようになり、1人目の時は取らないと言っていた育休を、2人目では取ると言って現在会社と交渉中です。新しい時代の1ページを家族で作っているという実感があります。子どもにどういう影響があるのかは分かりませんが、良いようになるように少しずつ研究していきたいと思っています。地域との繋がりが増えたことも良かったことのひとつです。コワーキングスペースを開くまでは都心のお客様が多く、あまり地元に根付いているとは言えませんでした。店舗を出すことによって、そこを歩いている方々と自然に会話が生まれ、いろんなアイデアをいただき、実際に困っていることに応えられるようなサービス開発をしています。目の前の人の役に立つという自分のポリシーに適っているので、自身のモチベーションも高いです。地域の皆さんに子どもを育てていただいているという実感もあって、嬉しい限りだなと思っています。
起業を志す方へのアドバイス
アドバイスなんておこがましいですが、起業は誰かの役に立てる素敵な活動だと思っています。コワーキングでは「ここがあって本当に良かった」「引っ越しの決め手!」なんて言われると、涙が出るほどです。まだまだ成功なんてしていませんし、周囲の変化で自社の業態も変えていかなくてはならないと思うと、いつまでこの日々を続けられるんだろう?と不安に思うこともあります。それでも、目の前の声に応え続けていけばきっと大丈夫だと信じて、自営業人生を全うしようと思います。エネルギーを要しますが、ぜひ「あったらいいな」を「あって良かった」にしてください!
アドバイザーからの一言以前より士業研究会の仲間でしたが、昨年、自らの経験から赤ちゃん見守りスペースの必要性を痛感し「コワーキングスペースBreath」 を立ち上げました。6月頃の構想から、あっという間に11月には開設した行動力には、目を見張るものがあります。異業種分野の事業への参入ですが、きっちりと計画を立て且つ実行していく姿、また、何でも吸収しようとする姿は見習うべきところが多々あります。さらに政治の世界にもチャレンジする情熱的な人です。 株式会社マネジメントブレーン取締役 静間 俊和 |