ユニバーサル・リアルティ株式会社 代表取締役
玉岡 一央(たまおか かずのり) さん
2023年3月に『ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった』という本を出版されたユニバーサル リアルティ株式会社の玉岡さん。本職は不動産屋さんのはずなんですが、なんと今年は「吉祥寺ランニングクラブOHANA」というFacebookグループを作られたということで、スポーツのお話を伺いました。果たしてビジネスとどんな関係があるのでしょうか?
「OHANA」とはどういうグループなんですか?
「吉祥寺ランニングクラブOHANA」はFacebookのグループで、「OHANA」とはハワイの言葉で「家族」という意味です。弊社の仕事とはまったく関係なく、いろんな年代や職業の人たちがゆるく集まっているコミュニティです。共通点は「健康でいたい」「歩きたい」「走りたい」ということで、ランニングクラブと言いながら、散歩やウォーキングの方から、レースを楽しむ方まで、『一生健康』をテーマに幅広いメンバーがいます。
活動内容は、井の頭公園 西園 トラックをホームグラウンドとした定期的な練習から、レース参加・懇親会・他のクラブとの交流など、スポーツ習慣を軸に、生涯のウェルビーイングを追求しています。10月1日現在で172人の方がグループに参加されており、地域的には武蔵野市界隈の方が多いですが、ほとんどは私も直接会ったことのない人たちです。
男性も女性も、ある一定の年齢を超えると、健康にルーズになってしまいがちです。実は私は武蔵野市のスポーツ推進委員でもあるのですが、市のスポーツイベントには結局モチベーションの高い人しか来ませんよね。Facebookのグループならハードルは低いですし、「OHANA」の中心は50代、60代の方達で、70代の方もいらっしゃいます。
なぜ「OHANA」を始められたのですか?
吉祥寺の良さって何だろう?と考えたときに、吉祥寺の人気を支えているのはやっぱり公園の緑なんだろうなと。緑を求める人は、都心のスマートさではなくて、「安心」とか「安らぎ」とか、ちょっと肩の力を抜いたようなゆるっとした感じが好きなんじゃないでしょうか。
私はマネジメントブレーンの「グローバルマーケティング研究会(GM研)」にも立ち上げから参加しており、「先見研究会」にも参加していますが、そこで話していても、吉祥寺は今は人気があるけれど、だんだんと若い人は減っていって、高齢の人たちが増えていくであろうということは予測できます。また、私は不動産業をしていますが、不動産業でシェアオフィスやコワーキングスペースなど、地域の場作りにチャレンジされている事業者さんは全国にけっこういらっしゃるんです。ただ、「なぜその場所を使うのか?」という利用者さんの心理の深掘りをしているところはあまりないかもしれません。そういった「居場所」があって、そこでみんな小さなチームを作るのは、「絆」を求めてではないでしょうか?
吉祥寺は「なんとなくゆるっとした感じ」の人たちが集まって「絆」ができる。その「絆」があることで、心の豊かさが生まれます。心の豊かさは時間やお金だけではなく、「健康」もすごく大切です。
私は2023年のホノルルマラソンに、長年の夢が叶ってやっと出られました。大手不動産会社の会社員の時は12月の第二日曜日に仕事を休めるはずもなく、2020年に独立してやっと出られるかと思ったら、コロナでホノルルマラソンが初の中止となり、翌年は開催はされたものの、渡航規制があり、日本から行くに行けない状態でした。2022年は規制は緩くなったんですが、その年は「吉祥寺パープル百貨店」という、武蔵野公会堂で開催された第一回目の武蔵野市の社会実験でもある大きなイベントを主催していて行けませんでしたから、20年越しの夢が叶ったわけです。
20年越しの夢が叶ったということは、そのずっと前からマラソンはされていたんですね?
中学・高校時代は陸上部でした。社会人になってお酒を飲み過ぎたり不摂生をしながら、その不摂生を取り返すかのように思い立って走ったりしていました(笑)。マラソンで大会などに出るようなことはないだろうなという諦めもありましたから、そんなにちゃんと練習することもなく、ゆるっと走っていただけでした。
2023年12月にホノルルマラソンに出たことがきっかけで、スポーツで何か地域の「居場所」ができないかと考えました。現実にどこかの場所を借りたりするのではなく、SNSでコミュニティを作ってみようと考えて、翌2024年1月に「吉祥寺ランニングクラブOHANA」をFacebookグループで立ち上げました。
「OHANA」の活動とお仕事はぜんぜん関係ないんですか?
「OHANA」では定期的に集まってランニングの練習をするのですが、そこで気づいたのは、たとえばマラソンの聖地でもある皇居には、スポーツシューズのメーカーやマッサージの会社が「ランニングステーション」という、ロッカーに荷物を預けられて、シャワーを浴びられる施設を設けています。駒沢公園もランナーが多く、やはり公園の周りに「ランニングステーション」があります。お店の一部が「ランニングステーション」になっているカフェもあり、ランナー向けにタンパク質が豊富なメニューを提供してくれています。
駒沢公園って、駒沢大学の駅から歩いて15分ぐらいかかるんです。それを考えると、井の頭公園って駅も近くて走りやすいんですよね。けれど、今のところ「ランニングステーション」がないんです。「ランニングステーション」があれば、たとえば休日の午前中に井の頭公園を起点に周辺を走って、午後には街で飲んだり食べたりして、健康的なライフスタイルの人たちの繋がりができたり、お店の常連になったりすれば、それが街の活性化にもなります。人と仲良くなれるような接点が増えれば、街に対する満足度も上がると思うんです。
ホノルルマラソンは3万人規模の制限時間がない唯一のマラソン大会です。吉祥寺は「スポーツの街」というイメージはあまりないかもしれませんが、なんとなくホノルルマラソンのおおらかな精神とマッチしているような印象があります。
私は不動産業として「街を創る」という意味で、「ランニングステーション」のような場作りが街の活性化に繋がり、ビジネスだけの目的ではなく、飲食店さんや創業した起業家の方と街を繋いでいけたらと思います。「ランニングが好き」とか 「公園が好き」とか、「健康になりたい」というキーワードは、世代もジェンダーも超えるものなので、そういった 「場」がこれからも社会で必要とされるんだろうなと思います。
なるほど。不動産業だからこそできることがあるんですね。
不動産屋としては「空き家」「空き部屋」の問題があります。そういった「空き家」「空き部屋」を週末だけ「ランニングステーション」にしませんか?というプロジェクトも考えられます。「空き家」っていうのは「なんとなく空き家」が一番多いんですよ。貸す気があるなら家賃を下げるとか、壁紙を変えたり工夫をしますよね。でも、「なんとなく空き家」は「物置」でしかなくて、ちゃんと管理がされていません。実はそういう「なんとなく空き家」が吉祥寺にもたくさん眠っているし、管理をしていないから、そのままではいろんな危険性や問題もあるんです。
「なんとなく空き家」のオーナーさんに不動産屋が「売りましょう」とか「貸しましょう」とか言っても靡かないですが、「健康」をキーワードに話をすれば、もしかしたら1000人に1人ぐらい「使っていいよ」と言ってくれる人がいるかもしれません。この活動を通して、不動産屋としても地主さんとの繋がりのできる機会があるかもしれません。「ランニングステーション」は駅に近い方がいいと思われるかもしれませんが、たとえ駅から遠くても、弊社には元々「ハローサイクリング」というサービスがありますので、電動自転車置き場を物件に付けることで解決できます。スポーツが好きでやっている活動ではありますが、本業と繋がっているとも言えます。
「OHANA」の今後の活動はどんなことを考えていますか?
「OHANA」はHonolulu Marathon THE CLUBに登録してセッションに参加するなど、ホノルルマラソンとのコラボもしています。不動産屋として、みんなの健康の推進とか、街作り、地域活性、インバウンドなど、「モノ」「コト」「トキ」を共有して「絆」を生み、街をうまく循環させることができたらと考えています。実は、吉コレに参加されている会社さんもたくさん参加してくださっているので、ランナーとアウトドアを繋げる活動もしていきたいです。
ユニバーサル・リアルティ株式会社〒180-0004
Facebookグループ『吉祥寺ランニングクラブ OHANA』 |