合同会社アピエ
平野 隆行(ひらの たかゆき)さん
どのような事業をされているのですか?
テレビ番組・企業・官公庁向けの動画制作を中心とした映像制作を行なっています。農林水産業系の情報番組を中心に、紀行番組、クイズ番組、人材教育映像、ビジネス映像コンテンツなどの企画・演出・プロデュース・撮影・編集・イラスト・CG制作などトータルで制作しています。ZOOMなどのオンラインLIVE配信、ドローン撮影や360°VR映像制作なども行います。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
2年くらい前から起業を意識し始めました。およそ30年前に新卒で映像業界に入り、2つの会社で正社員として経験を積んだ後、フリーランスの映像ディレクターとして10年以上活動しました。その後、再び正社員としてプロデューサー業に携わり、2021年の4月に起業しました。もともと独立志向が強かったわけではなく、キャリアビジョンを明確に描いてきたわけではないですが、その時々自分に必要なスキルを身につけながら、ステップアップを計っていくうちに、いつしか起業を考えるようになりました。登記をする半年くらい前に武蔵野市の産業振興課で創業支援のご相談に乗っていただき、創業資金等の融資手続きについてレクチャーしていただきました。シェアオフィスを探している中でi-office吉祥寺を訪れ、起業後の拠点にすることとし、そこで司法書士・税理士・社労士の方々などもご紹介いただいて起業サポートをしていただきました。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
映像ディレクター中心で業務を行なっている時は「良質な映像を作りたい」というこだわりが一番強くありました。その後プロデューサー業務を行い始めると当然ながらビジネスとして「利益」の追求になります。この2軸「品質」+「利益」両方を求めるためには、起業して自分の判断でバランスをとって制作していくことがベストと考えたことによります。自分の中では1年前でもなく、1年後でもなく「いま」がベストという直感があり、このタイミングで独立して基盤を作ることが大事だと考えました。映像媒体も多様になり、映像制作の需要がこれまで以上に増えてきていることも実感する中で、さらにチャンスを広げることができ、自分自身も成長できると思って起業しました。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
映像制作は事前の準備と、細部に渡る細かい配慮が重要と考えています。弊社は撮影に入る前、事前の打ち合わせから、構成を作りあげる部分に特に力を入れています。また、構成作家・演出・撮影・編集・音楽・デザインなど様々な分野のスペシャリストたちと協力してハイクオリティーかつスピーディーに制作することができます。企業向けの作品に精通したスタッフやYoutubeを手がけるスタッフ、NHKや民放各局、企業CMなどを手がけているスタッフなど、重厚な作品からポップな作品まで多様な映像を制作できます。ドローン撮影、360°VR映像、イラスト、CG制作、ドラマ形式作品、ZOOMなどのオンラインLIVE配信、オンラインレッスンなどにも対応しています。
起業して感じることは?
独立前は目先の仕事やせいぜい数ヶ月先を見て仕事をしていましたが、起業にあたって年間の収支計画を綿密に何度も行うことで、事業を年ベースでしっかりと見渡すことができたのは自分にとってメリットとなりました。また起業とともに、旧知の人脈が元になって新たな人脈が生まれ仕事が広がり大きな財産となっています。フリーランス時代に構築した人脈やクライアントも今につながっており、改めて「ご縁」を大事にしていかなくてはならないと思っています。課題は、いかに数多くの仕事を品質を落とさずに行うかということです。なるべく自分がプレーヤーにならずに、協力スタッフとこれまで以上に連携を強めて、全体を俯瞰して制作管理できるようになっていきたいと思っています。
起業を志す方へのアドバイス
起業のタイミングは人それぞれだと思います。私の場合フリーランスからそのまま起業しなかったのは、その時自分にまだ足りないものがあると感じていたからです。しかし満を持してと考えるとキリがないようにも思います。自分の経験から、勢いで前に進むというのも大事だと実感しました。アクションを起こすと不思議と人と仕事が動き出すと思います。「仕事は人についてくる」と助言されたこともあり、シンプルですが日頃から真摯に仕事に向き合う姿勢が大事なのだと、改めて考えさせられました。
アドバイザーからの一言独立志向を高めて起業される方が多い中、平野さんは一味違います。スキルアップや成長に合わせ、その時々にベストなスタイルを取ってきています。それが、フリーランス→会社勤務→起業・法人化という流れを生んだのでしょう。文中にもありますが、映像媒体は多様化し需要が増えた分、変化の早い世界でもあります。平野さんのような姿勢で、自由に変化できることも、事業継続には必要なことです。「仕事は人についてくる」という言葉、深いですね。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |