HARD SHAKE BAR130
本間 勲(ほんま いさお)さん
どのような事業をされているのですか?
ストレスが多い現代社会。そんな中カクテルを通じてお客様に感動を与え、疲れを癒し、明日の活力を提供したい。そんな想いから東京・吉祥寺の地に2020年12月より HARD SHAKE BAR130(ワンサーティ)を開業させていただきました。「女性の方がお一人でも気軽にご利用できるBAR」をコンセプトに、白を基調とした 温かみのある内装にてBARを経営させていただいております。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
バーテンダーという職業に就いた当初より「いつか自身の地元でBAR を開業したい」と 考えておりました。中央線の荻窪から吉祥寺間が幼少を過ごした土地でしたので、 今回縁あって吉祥寺の物件が見つかり、こちらで開業いたしました。開業の準備は今から約8年ほど前からはじめました。当時は銀座の BARで働いていたのですが、昼の時間が空いておりこの時間を使って開業資金を貯めようと考えました。勤務地の近所にイタリアンのレストランがあり、どうせ働くなら開業した際に役立てるスキルも一緒に勉強したいと考え、こちらで働かせていただくことになりました。お蔭様で本格ピザ窯で焼き上げるピザなどの提供もさせていただいております。また、当時より「美味しいカクテルをお客様に提供したい」という想いが強かったので、 自身の技術の研鑽を図り、国内外で開催されているカクテルコンペティションに積極的に参加して参りました。バーテンダーという職業はカクテルを作る技術面だけではなく、接客などのサービス面も兼ね揃えている必要があるので、フレンチのレストランで数年間サービスの勉強もさせていただいておりました。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
修行を初めて約20年が経過した頃から今まで培ってきた経験を活かして起業したいと 思うようになりました。バーテンダーはお酒を提供することが仕事ですが、 ただ酔うことを目的とした飲酒ではなく、そのお酒の背景にある歴史や正しい飲み方などを様々な世代の方に広く広報していくことがこの業界に対する恩返しでもあると考えるように至ったことも大きな要因のひとつです。また独立してお店が軌道に乗った際はスタッフを雇用したいと考えております。スタッフを数名雇用し、育てていくことがこの業界の今後の発展に欠かせないと考えているからです。今後少子高齢化が益々深刻化していく中で、若い世代の方へいかにこの業界が素晴らしいか、バーテンダーとしての生き方がいかに素晴らしいかをまずは自身のお店で雇用したスタッフに伝えていく。微力ではございますが、それが今後の私の使命だと考えております。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
吉祥寺にて開業することが決まったので、この街にはどのような方が多く住まれているか調べてみました。すると30代から40代の一人暮らしの女性の方が多いことが分かったので、上記のように店内の内装を白を基調に装飾しました。また次いで60代以上の定年退職を迎えられた方が多かったので、そのような方でもご利用いただけるようオープン時間を14時からとさせていただいております。閉店は深夜24時を予定しておりますが、現在新型コロナウィルス感染症の影響により(2021年7月現在)、時間短縮営業となっておりますので、世の中が落ち着き、通常営業ができるようになってから様子を見て閉店時間を決めたいと考えております。また、吉祥寺にはどのような BARが存在しているかも調べてみました。その結果、ウイスキーを中心とした BAR が約7割と多かったので、カクテルを中心とした営業方針は他のBARとの差別化にもなるかと思い、カクテルを中心としたBAR としました。カクテルコンペティションにて受賞させていただいたオリジナルカクテルをはじめ、スタンダードカクテルやフレッシュフルーツを用いたカクテルに力を注いでいきたいと思っております。近年、モクテルと呼ばれるノンアルコールカクテルの注目度も上がっており、 こちらも色々と模索しながら提供させていただきたいと思っております。
起業して感じることは?
私が起業した2020年12月は新型コロナウィルス感染症の真っただ中ということもあり、 まわりの方には「起業するのはもう少し待った方が良いのでは?」と多く心配していただいておりました。しかし実際に起業してみて感じたことは「ピンチはチャンスなり」ということです。僭越ながら吉祥寺駅北口から徒歩1分圏内の物件が見つかったことは奇跡に近いことだと感じております。物件取得時の交渉もスムーズに進み、感染症時下ならではだと思っております。開業後は感染症の影響により当初予定していた集客数には至っておりませんが、数字的な面において最低ラインが見えたことも大きいです。あとは上っていくだけだと今後の自信に繋がりました。また時間的な余裕もあるので、数年後に時間を掛けてやろうと思っていた追加の内装工事などを積極的に行い、顧客満足度を上げられたことも良か ったと痛感しております。悪かったことは特に感じていないのですが、強いていうなら通常営業(深夜24時クローズ)が未だにできない状況ですので、お客様の流れや時間帯のデータが取れないことぐらいです。感染症も落ち着き、通常営業に戻ればそれらのデータの収集を行っていきたいと思います。
起業を志す方へのアドバイス
開業資金につきまして、早い段階から貯蓄を始めた方が良いと思います。私の場合、 約8年間にわたり貯蓄を行って参りましたが、借入を起こす際に担当の方に長い年月を掛けて開業資金を準備してきたことを高く評価していただきました。BARを開業するにあたり使用するお酒やグラスなども「いつか独立するときのために」と少しづつ購入しておきました。お陰様で開業時に掛かるコストが大分軽減することができたのも大きかったです。自分が起業することで社会に対し何を貢献できるか。そこからお店のコンセプトを作り出し、そのコンセプトに沿って内装や提供するサービスを考案していく。相手に何を伝えたいか、決してぶれることのないその柱となるコンセプトをしっかりもつことも重要かと思います。
アドバイザーからの一言業界への恩返しと発展への貢献を使命としている本間さん。後進の育成も視野に入れ、起業はそのための「手段」だったのかもしれません。しっかりと市場調査(顧客・競合調査等)をし、それらをお店づくりやメニューづくりに活かしているというマーケティング的な視点も、大変参考になります。長めの準備期間と資金の貯蓄が金融機関の評価を高めたとのことですが、本間さんの律儀な姿勢は、お客様はもちろん周囲の方々の信用と信頼も高めていることでしょう。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |