フリーアナウンサー
藤井 みりか(ふじい みりか)さん
どのような事業をされているのですか?
司会やCMナレーションなどの活動のほか、去年から吉祥寺で「こども話し方教室」を運営しています。主に小学生向けの教室で、コミュニケーション向上や受験面接対策など、様々な目的の生徒さんが集まっています。レッスンでは毎回テーマを設けてプレゼンを行ったり、子どもたちにも身近なSDGsなどのニュースを取り上げ、音読や意見交換などを行ったりしています。アナウンサーとしては、日本経済新聞の音声コンテンツ「ながら日経」水曜日や、Podcastの日本酒トーク番組等を担当しています。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
起業しようと思ったことはなく、人生の転機があるたびに今本当にやりたいこと、やるべきことを考えていたら、いつのまにか新しいことを始めていた、という感覚です。小学生の頃からアナウンサーを目指していて、大学時代はアルバイトを掛け持ちしながらアナウンススクールへ通いました。就職活動では全国の放送局を受けましたが、大苦戦。最終的にご縁があったNHK熊本放送局の制作部へ入局。はじめは、取材やADなどの番組制作業務に携わりました。(今考えると貴重な経験でした)3年後、NHK奈良放送局へ移動し、夕方のニュース番組のメインキャスターを5年間担当。その後、名古屋の中京テレビ放送に移り、NHKと民放合わせて約10年間、放送局でのアナウンサー経験を積みました。その後、フリーアナウンサーの事務所に所属していましたが、せっかくなので事務所から頂く仕事だけでなく、大学時代から学んでいた子どもの教育のことなど新たな事業にチャレンジしてみたいという思いから、独立して活動を始めました。事業計画書などの書き方も全くわからなかったので、武蔵野商工会議所の職員の方にご指導いただいたり、i-office吉祥寺のイベントで先輩経営者の方々のお話を伺うなど、今も沢山の方にお力をお借りしています。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
約4年前、出産し、産休育休を取りました。家事·育児に追われる中で、自分が社会から取り残されているような感覚になり、今の自分だからこそ世の中に貢献できることは何だろうと考えるようになりました。コロナ禍で自分と向き合う時間も多かったということもあったかもしれません。また子育てをする中で、子どもの可能性の大きさを日々感じ、この力をもっと伸ばしたいと考えていました。皆さんは子どもの頃、人前で話すのが恥ずかしかったり、本番でうまく力を発揮できなかった経験はありませんか? 実は私は幼い頃、人前で話すのがとても苦手な子どもでした。発表会や受験、就職活動でも自分の普段の力を出しきれずに、悔しい思いをしていたことを今も覚えています。「話したいことは山ほどあるのに、どうやって伝えたらいいかわからない。」大人になってからアナウンサーとして場数を踏む中で、過度に緊張することは克服しましたが、幼少期から人前で話す経験を重ねることで、もっと子どもたちの可能性を伸ばせるのではないかと考えるようになりました。自分の意見を大切にするということは相手の意見も大切にするということ。我が子には、そんな子どもに育ってほしい。そんな思いがきっかけで、話し方の民間資格を取得し、こども話し方教室を立ち上げました。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
マニュアル的な指導よりも、個々へのフィードバックを大切にしています。それぞれの子には、必ず、その子ならではの魅力があります。「恥ずかしがり屋さんだけど、他の人の発表の時に一番に拍手を送れる子」「普段の声は小さいけれど、スイッチが入ると大きな良い声が出る子」「どんな問いかけにも手を挙げてくれて教室を引っ張ってくれる子」など…長所をいち早く見つけて本人や保護者の方にお伝えし、個性を大切に伸ばしながら、もっと良くなるためのアドバイスを行います。話をわかりやすく組み立るためのオリジナルメソッドも用意しているので、話がまとまらないというお子さんにも好評です。アナウンサーとしての強みは、放送局で培った取材力·信頼感です。司会者である私が華やかさを出して目立つのではなく、インタビュー相手や、依頼されたイベント本来の魅力を引き出すことを最も心掛けています。…こうしてお話していて初めて気づいたのですが、話し方教室でも子どもたちの魅力を引き出そうと頑張っているので、根底にある思いは共通しているんですね。
起業して感じることは?
話し方教室をスタートした時期と、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出された時期が重なってしまい、思うように事業が動かなかった時期もありました。また大規模イベントも中止され、司会の仕事も激減。しかし、その時は「今は花が咲く前の蕾のとき。肥料をしっかりやりつつ、他の種も撒こう!」と、手作りのチラシを作ってポスティングして回ったり、地道な営業活動を頑張りました。「真面目にコツコツやっていたら悪いようにはならないはずだ」と、持ち前の楽観的な性格で乗り切りました。その大変だった時期に出会ったご縁で、現在のレギュラー番組や、司会などを担当させていただいているので、ご縁のありがたさや面白さを痛感しています。今も情勢は不安定ですが、こうした山や谷も楽しみながら人生を送れることが独立して良かったことのひとつです。エネルギッシュで面白い方々に出会えるのも良かったことですね!
起業を志す方へのアドバイス
私は、起業というほどのものではありませんが、やりたいこと·挑戦したいことがあるというのは素晴らしいことだと思います。新たな世界に飛び込んでみると、応援やアドバイスを下さったり、力を貸して下さる方に沢山出会えました。先が見えにくい時代ですが、だからこそ、先輩方のお知恵を拝借して、好きなことに挑戦する仲間が増えると嬉しいです。
アドバイザーからの一言フリーアナウンサーである藤井さんは、人の魅力を引き出すプロフェッショナル。NHKや地方局で培った取材力や信頼感が独立に効果を発揮し、お仕事がお仕事を呼ぶ好循環を生んでいます。ただ待っているというスタンスではなく、商工会議所をはじめとした各所会合に積極的に参加するバイタリティが応援者を増やし、藤井さんの今を作っていると言えるでしょう。「こども話し方教室」と司会やCMナレーションの「アナウンサー業」、二軸の活動が今後どう発展するか、楽しみです。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |