Belle鍼灸マッサージ院 by Oriental Works
大鐘 善恵(おおがね よしえ)さん
どのような事業をされているのですか?
主に、鍼灸マッサージ施術を提供する治療院としての営業と共に、技術セミナーの開催、イベントの請負、機器の開発販売やサービス提供を行っています。具体的には、吉祥寺の鍼灸院で日々施術を行っておりますが、週末などには、セミナーの主催、企業様イベント(鍼灸ブース)に呼ばれております。2024年の実績としては、医師と鍼灸師の合同セミナーの主催、日本ウォーキング協会様のイベント、全国鍼灸マッサージ協会様のイベント、東京鍼灸師会様のイベント、小中学校のイベントなどに参加させていただきました。
いつから起業を意識されましたか? どのような準備をしましたか?
起業をイメージし始めたのはNECグループで勤務していた時です。妹が若くして亡くなったこともあり、医療について興味を持ちました。兼業でヨガ講師をしており、自分の手に入れた技術を人の役に立てたいなぁと漠然と考えていたのですが、そこから東洋医学=鍼灸の道へ自然な流れで辿り着きました。
まずは鍼灸の免許を取らなければならないので、NECグループで働きながら新宿にある鍼灸学校(東洋鍼灸専門学校)に3年間通い、2019年にあん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師の3つの国家資格を取得しました。会社では、クラウド型療養費対応の東洋療法向け電子カルテのプロジェクトの立ち上げを遂行していました。同時期に起業するために必要な治療や診断のスキルを磨くため、2019年から慶應義塾大学医学部漢方医学センターの研究員になり、大学病院での研修や研究で経験を積みました。
2023年1月に個人事業主として開業届を提出し、同年6月に鍼灸院をオープンしました。起業は初めてだったのでわからないことだらけでしたが、自分で必要だと思うことを徹底的にリサーチし事業計画書としてまとめ、先輩の中小企業診断士、税理士や、すでに独立した先輩方に見ていただき、アドバイスを頂きました。この時、マネジメントブレーンの静間さんと姫野さんに出会い、ご縁をいただいたことが私にとってはとても大きなイベントになりました。
起業のきっかけはなんですか?なぜ起業したのですか?
起業のきっかけは、2022年2月3日に「起業する!」と降りてきた直感です(笑)。学生時代からの「東洋療法が当たり前に選択される日本にしたい」という想いを実現するために起業しました。これを実現するには、自分自身が鍼灸院を運営する必要があると考えました。実践が伴わない技術論や学問は机上の空論であることを、今までの経験で知っていたからです。
私は起業までに目標を二つ決めました。一つ目は「鍼灸師」としての実力を蓄えること、二つ目は「東洋療法を当たり前に選択してもらうためのツール」を作成することです。東京都鍼灸師会という団体の研修会で鳥海春樹先生に出会い、幸運にも様々なご指導を頂き、治療院の助手や研修の運営や研究など、東洋療法の担い手としての私の骨格はこの先生に作っていただきました。おかげさまで競争力を自覚できる鍼灸師になることができたと思っております。
難しかったのは二つ目の目標です。どんなツールがあれば東洋療法が一般に受け入れられやすいだろうかと、頭を捻りました。当時勤務していたNECグループの上司に相談したところ、東洋療法専用カルテを作ってはどうかとヒントを頂きました。その後、2年をかけてクラウド型療養費対応の東洋療法専用カルテをリリースすることが出来ました。この経験は、今回の起業にあたって大きな自信になりました。
あなたの事業の強み、アピールポイントは何でしょうか?
事業の強みは、鍼灸業界のみならず他業種のネットワークがあることです。私の経験が、テーマパークでの教育業務、コールセンターの責任者、エンジニア、ヨガインストラクター、2カ国での海外在住経験とバラエティに富んでいるため、多角的に物事を捉えた活動が展開できていること、さらにたくさんの仲間に助けてもらえます。また、過去の経験にプラスして、心理学部を卒業したこともあり、患者さんに寄り添った施術ができることです。
現在の地域医療というのは、高齢化の進展に合わせて基礎疾患を複数持った高齢者が多くなり、通常のお薬が効かない状況が色々な場面で問題になっています。さらに、コロナ後遺症や線維筋痛症などの複雑な病気も増えております。私の治療院では、医師とチームを組んだ鍼灸治療の提供をメインとしております。実際に私の院では医師と一緒に施術をしたり、医師と合同での技術教育を行っています。このような鍼灸院は非常に珍しく、これがアピールポイントとだと思っています。
起業して感じることは?
起業して感じることは?
起業してみて感じることは、会社員時代はとても恵まれた環境では働くことができていたなと、改めて感じています。例えば、とても小さなことですが郵送物の受け取りや給与の振り込みなど、今は全てを自分でしなければなりません。たくさんの社員の方に支えられていたのだなと、感謝の気持ちで一杯になります。
良かったことは、自由度が高く、スピード感がある業務が行えることです。大手起業に勤めている時は、細やかな社内ルールに従いながら、他部署と調整を重ねてプロジェクト遂行をしてきました。今は、自分の裁量で全ての業務が行えるので起業した実感が持てます。
悪かったところは、自由度が高いので、つい働きすぎてしいます。自分自身も鍼灸マッサージの施術を定期的に受けること、養生(運動・食事・睡眠)をすること、健康には気をつけています。業務内容によってはPCがあればどこでも働けるので、一人ブラック企業状態にならないように、起業2年目はライフワークバランスを重視したスケジュール管理ができるようなることが目標です。
起業を志す方へのアドバイス
「ご自身の心がワクワクした方を選択すること!」もちろん苦労はありますが、そうすると心身ともに豊かに日々を過ごせると実感しています。自分が人生をかけてしていきたいモノやコトが見つかったら、ぜひ起業してください。週末だけ、月に1回だけ、など今のライフスタイルに合わせた、起業の方法がたくさんあります。困ったことがあれば、起業家の先輩が所属している、マネジメントブレーンさんに相談してみてください。
アドバイザーからの一言大手グループ会社でシステムエンジニアとして活躍していた大鐘さん。明快な「0と1」の世界から、グレーゾーンの多い東洋医学への転向には、相当な苦労があったことでしょう。「起業する」という直感が降りてきたそうですが、決して思いつきで動き出したわけではありません。徹底的なリサーチと緻密な事業計画のもと、万全の準備を整えてスタートを切りました。「地域の人々との出会いや、経営者とのつながりに大きな価値を感じている」と語ります。さまざまな分野での経験を持つ大鐘さんが描くビジョンは、壮大です。 株式会社マネジメントブレーン代表取締役 社長 姫野 裕基 |