エイチ バイ エイチ
小田 治子(おだ はるこ)さん
真珠の製造販売 http://otona-pearls.com
もっと普段つけられるデザインや真珠の楽しみ方を普及させたい
主に日本の伊勢、志摩産のあこや真珠と、海外産の南洋真珠、黒真珠を使ったオリジナルジュエリー、アクセサリーの企画、デザイン、販売をしています。
どうしても本物の真珠は冠婚葬祭の時しか出番がなくしまわれがちですが、もっと普段につけていただけるようなデザインや、一人一人似合うものを今のファッションにコーディネートさせながら、真珠の楽しみ方の普及もしております。
手探りの創業計画書や資金計画でにらめっこしながらの創業
もともと実家が真珠の卸業をして、私はそこを手伝うような形でこの仕事に携わっていました。ただ、小さな真珠の卸業は、このご時世たいへん厳しく、父も高齢で、介護も必要になり、業績も伸びず無理して続けるには限界もあり、そちらの会社は整理する事にしました。苦渋の決断でもありました。
それから程なくして父が亡くなり、落ち着きました頃に、やはり真珠に携わる仕事がしたい、今まで真珠で育ててもらったのだから、今度真珠にも恩返ししたい。もっとたくさんの方に知ってもらいたい。という気持ちになり、個人での創業にいたりました。
私の場合、取り扱いものは同じですが、同じ事をしても先がない。違う方向を探さなくてはいけない。では、どの様にしたら良いのか、手探り状態でした。ただ、自分の住んでいる武蔵野市、まずはここからスタートしたいと思っていたので、武蔵野創業スクールで、マーケティング、お金の事など、一つずつ勉強していきました。
お恥ずかしい話ですが、私はデザインや制作を専門としていたので、創業計画書や資金計画は苦手中の苦手。数字とにらめっこしながら、市役所の相談窓口なども何度も伺いながら、利用してどうにかつくりました。そして苦手な所がクリアになり、前に進めました。
しまっておくのではなく、つけて初めて生きてくる真珠
真珠の世界に長く携わっているので、良いもの、悪いものいろいろなものを見てきました。形は少し変形していても、色や輝きの素晴らしいもの、少ししか生産されず通常の流通にならないものなど、真珠といってもいろいろあります。
人が知恵をしぼり、貝が一生懸命作ってくれたものを最大限に生かす方法が必ずあります。生産者の方との繋がりもあり、そのような真珠も私の元にやってきます。また、どうやって作られるのか、海はどのような状況なのかという、生の声もお届けすることができます。
時間はかかりますが、丁寧にご説明して、お一人お一人に似合うものをお選びする事もできます。しまっておくのではなく、人がつけて、初めて生きてくるものです。
日本は真珠の生産国です。おしゃれに真珠をつけている人が多い武蔵野市として世界に発信したいです。
起業して良かったことは、自分を見つめ直す事ができたこと
起業して良かったことは、自分を見つめ直す事ができたことです。女性の場合、何度か自分を見つめ直す時期があると思います。仕事、結婚、出産、etc。
私の場合は子育て中の親の老いと介護。これからの自分に置き換えた時、恐ろしくなりました。女性の平均寿命は87歳。毎日の忙しさに、何が何だかわからないあっという間の1年より、今の自分にとって大切なものは何なのか、何をしたいのか、今後どう生きたいのかを問い、理解すると心にゆとりができました。
自分にミッションを課して、少しずつクリアしていくことは忙しくても納得いきます。やりがいも感じます。
起業を志す方へのアドバイス
もしかすると起業する事は簡単なことかもしれません。アイデアと、やる気で役所に届けを出せば良いのですから。でもそれをいかに続けていくのか、利益を出して、自分の生活と夢の両立をさせていくのか。どれだけ大変なことなのでしょう。
でも、せっかくのやる気も石橋を叩きすぎて、渡れないのもなんだか残念です。同じような経験をされた方と会ったり、創業スクールなどに参加して話し合ったりしていると、思わぬ出会いがあったり、違うアイデアが生まれたり、モヤモヤしていたものが、急に晴れる時が来ます。その時が一歩踏み出す時期だと思います。
アドバイザーからの一言小田さんは、今までのパールの卸売りの経験を活かして、昨年創業しました。 株式会社マネジメントブレーン代表 静間 俊和 |