合同会社あしもと
渡辺 美里(わたなべ みさと)さん
DTP・デザインからコンサルティングまで
広告代理業・制作業が主な事業ですが、DTP・デザイン業+コンサルティング業を少々、と言ったほうが正確かもしれません。デザイン面では、イベントのチラシ、名刺、事業案内のリーフレット、簡単なホームページ制作など、紙ベースの印刷物からweb媒体の制作まで幅広くおこなっています。
また、クライアントさんから集客や資金調達の相談を受けることもあり、デザイン業とともにコンサル的な役まわりでお仕事することも増えてきました。
「独立するなら今かな」と
なんとなく起業を意識したのは2〜3年前だと思います。大学を卒業後、広告代理店に入社して4〜5年経った頃ですね。その時は現実的に「起業したい」とは考えておらず、「独立したらどうなるかな」とか「デザイン業のフリーランスで食べていけるかな」など、想像や問いが浮かんでは消え、浮かんでは消え、の繰り返しでした。きちんと自覚したと言えるのは、31歳の誕生日を迎えたときです。「あぁもう30代が1年過ぎたんだ。独立するなら今かな」と年齢的なタイミングを感じ、密かに決意してました。6月が誕生日で会社の設立がその年の8月ですから、電光石火的な早さでしたね(笑)。最初は個人事業主という形態も考えていたのですが、社会的な信頼と仕事のしやすさ、また将来のことも考えて、会社法人として登記しました。そんな勢いでの起業だったので、特に準備という準備もしていませんでした。ただ、周りにいるフリーランスの方や、会社の社長さんなどの話はよく聞いて観察してました。どんなところが楽しそうで、どんなところが大変そうか、それを自分に当てはめたときにどうか? というシミュレーションは無意識にしていたと思います。
仕事以外の時間を有効活用
デザイン業で起業したのは、前職での広告制作の業務が苦にならず好きだったこと、あと会社以外の隙間時間でデザインのお手伝いをずっとしていたことが、主な要因だと思います。以前の職場は広告代理店の制作部だったんですが、とても小さな会社だったので、担当クライアントの予算や売上管理も途中から任されるようになり、会社のお金の動きもなんとなくですが把握できてました。すると、だんだん「自分一人でも出来るかも?」という考えが浮かんできたりして…。また、学生時代から大学で開催するイベントのチラシを作ったり、学会のロゴ制作に携わったり、そういうお手伝いがずっと続いていたことも大きかったです。継続的な需要があるのなら、単なる「お手伝い」じゃなく、もっと本気で関わりたい、プライベートでやっていることを自分の事業にしたいと思うようになりました。いま振り返ると、仕事以外の時間を有効活用できていたんですね。アフターファイブや休日は、興味のあるイベントに出かけたり、デザイン系の本を買い漁って勉強してみたり、編集の学校に通い出したり、とにかく吸収欲が高かったんです。「これをちゃんとアウトプットしたい、自分でマネージメントしたい」と思い起業するに至りました。
「ちょっといいデザイン」を低価格で提供
肩書きの表現が難しいんですが、私は“プロのデザイナー”ではないんですよ。デザインの勉強も独学だし、これまで何か大きな賞をとったわけでもありません。大企業の広告デザインなどは、きっと担当できないなと思います。
でも、私が出来るそこそこのデザインやディレクションで、事業が前進したりイベントが注目されたりして、喜んでくれる人がいるんですよね。小規模事業を営む会社さんや個人事業主の方、市民団体の方々などがそうです。なので、私の身の回り、自社名で言えば“足もと”の皆さんに、「ちょっといいデザイン」を低価格で提供できることが強みかなと思います。
実際にデザイン案を出すときは、お客さんや事業の特徴を大切にしてラフ案を制作します。例えば同じパンフレット案でも、陽気かつ元気いっぱいなイラストを使用したバージョン、誠実さを表すようなレイアウトと差し色で魅せるバージョン、ちょっとした遊び心をプラスしたバージョンなど、お客さんの強みを分析して、沢山のラフを提案することもあります。私自身、デザインのモードに変化をつけて作ることが好きなので、作る側がまず楽しんでいこう! という気持ちも大切にしてます。
どんな人にでもクリエイティビティがあると思っているので、その背中をポンっと押してあげたり、あるいは引っ張ってあげたり、ときには一緒に歩んでいきたいですね。
地元の事業の経営課題や地域での取り組みにまで関わる
吉祥寺で暮らし始めて3年程経ちましたが、起業したことでようやく地域に馴染めた気がして、素直に嬉しいです。以前は千代田区まで通勤していたので日中は留守ですし、仕事帰りによく吉祥寺でお買い物や食事もしてましたが、そこでは良くも悪くも「お客さん」止まり。事業の経営課題や地域での取り組みにまで関わることはなかったので、いまは中身が伴ってとても充実しています。起業家仲間や相談相手にも恵まれました。このネットワークが予想以上に心強くて、街にも人にもどんどん愛着が湧いています。悪かったことは、先ほど言ったように勢いで起業したので、もう少し計画的に準備していれば、いろんな補助を受けながら有利に創業活動が出来たり、コストを抑えることも出来たのかな、と思います。でも、習うより慣れろで行動することは悪いことではないと思うし、その分集中力や吸収力も高まっているので、後悔はしてません。
起業を志す方へのアドバイス
まだまだ未熟者なので、アドバイスというアドバイスは思いつかないのですが、一度切りの人生、自分の思い通りにやってみる! ということはとても大切なことだと思います。行動することで、目の前の課題・問題はどんどん変わっていくので、毎日大変だけどとっても楽しいです。
ご自分の直感や感性を受け入れて、少しでも「やってみたいかも」と思ったら、一歩踏み出してください。いつか起業家仲間として出会えますように。
アドバイザーからの一言2019年7月、創業前にi-office に入居。その後むさしの創業スクールを受講し、9月に法人設立した後、マーケティング塾を受講し11月のビジネスプランコンテストで審査員賞を獲得しました。 わが社の創業支援の中で理想的なステップを踏まれており、ぜひ成功事例となるように成長して頂きたいと思います。素直な性格と愛されるキャラクターは人々の心を和ませます。武蔵野商工会議所にも入会し、積極的に吸収しようとする姿勢は起業家に必要な条件です。 株式会社マネジメントブレーン取締役 静間 俊和 |